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MoMoさんによる連載コラム6:APEC Stage 2 Part1

6)APEC Stage 2 について その1(試験の概要及び傾向と対策)

APEC Stage 2の受験資格はPre-registration 期間の75%を終了したときに与えられます。Pre-registrationの期間は受験者一人ひとりのバックグラウンドや経験によってAPECの試験官にInterviewのときに決められ、私の場合は最大の2000時間(フルタイムで52週)が課せられました。 もちろんPre-registration期間の75%の期間を終えた時点でも、試験に合格する自信がなければ、受験を先延ばししてもいいのです。

Stage 2の試験概要は州によって異なりますので、以下は私が受験した頃のQLD州の試験について述べていきます。
試験は2日間に渡って行われ、1日目はAustralian Pharmacy Competency Assessment Tool (APCAT)と呼ばれるMCQ (Multiple Choice Question:マークシート形式)の試験です。2日目は実技試験と口答試験となります。
以下各試験の問題の傾向と対策を述べていきます

1)APCAT
APCATは試験時間2時間半で120問の設問に答えます。Open Book ExamなのでAMHとAPF、それに電卓の持込みが許可されています。計算問題はほとんどありませんでした。出題内容の8割はAMHかAPFに記述のある問題です。薬局薬剤師の研修生が受験することを想定して作られた試験なので、病院でしか取り扱わない注射剤とか抗がん剤などの出題はありません。出題は一般名と商品名の両方でされるので、この時期までに商品名も覚える必要があります。
必ず出題されるDigoxin, Warfarin, Phenytoinといった相互作用が多く、かつモニタリングの必要な薬物は、AMHにタグを付けて引きやすくしておくといいでしょう。抗うつ剤
のスイッチングも大きなヤマです。AMHの抗うつ剤の項目をよく読んでおく必要があります。Immunisation についても出題があります。APFに記載の項目ではCYP450に関する問題や、BreastfeedingやPregnancyと薬物の問題、Dressingに関する問題が出題されました。

Stage 1のMCQに比べると問題の難易度も上がり、内容も医療薬学に関した問題となっています。8割の内容がAMHかAPFに書かれているとはいえ、その都度調べる時間は余りありません。試験前にAMHとAPFをしっかりと読み込んでおく必要があるでしょう。
私が受験したときには明確な合格基準は設けられていませんでしたが、私の後に同僚が受験したときには、合格最低ラインが75%だったということでした。時間切れで合格基準に達しなくて不合格となった人もいますので、時間配分にも気をつけておいてください。

2)実技試験
3枚の処方箋(処方されている薬物は合計6つ)と、一つの薬に付き2枚のチェックシートが渡されます。処方箋はいずれも問題があり、それが相互作用であったり、処方変更が必要なものであったり、薬用量の変更が求められたり、処方箋の記述に誤りや漏れがあったりと、薬剤師として何らかのアクションが必要になるものばかりです。1枚目のチェックシートは法的に処方箋が有効であるかどうかの記述を求められます。また2枚目は患者さんの氏名、年齢、薬の一般名、処方箋上の用量と用法、一般的な用量と用法、患者さんが他に服用している薬、アレルギーの有無、Ancillary Labelsの種類、カウンセリングポイントを記述していきます。また薬の空き箱をいくつも用意されているので、実際にDispenseしたと想定して、ラベルを手書きして該当する薬に貼る作業もあります。

制限時間は3時間ですので、一つの薬につき30分と時間はたっぷりあるように思えますが、実際は試験官相手に患者さんとの質疑応答と、ドクターとの質疑応答もしなくてはいけないので、時間は余りありません。カウンセリングポイントは重要なものから箇条書きで書いていくといいでしょう。また実技と口答試験はOpen Book Examなので、何を持ち込んでも構いません(極端に言えばノートパソコンも持ち込めました)。ですので、あらかじめ過去に出題された薬のチェックシートを作っていき、同じ薬が出題されたら、時間がないときはカウンセリングポイントを書き写すといいでしょう。

3)口答試験
まず別室にて試験の問題が渡されます。だいたい一つの処方箋に2つか3つの薬が処方されており、またOTC販売に関するシチュエーションも合わせて10通りの問題があります。どれも何らかの問題がある処方です。例えは相互作用であったり、初回服用量が多かったりといったものです。別室での時間は30分ですので、その間に本などを使って不明な点を確認していきます。
次に試験官との面接となり、試験時間は45分です。試験ではあらかじめ渡された問題についてランダムにピックアップされ、処方上の問題や薬剤師としてどう対応するか等を聞かれ、質問の内容はどんどん深く難しくなっていきます。どこまで深い内容が答えられるか試される試験だと思います。またOTCの販売に関する問題では、患者さん(試験官)とのロールプレイを行います。

実技と口答試験はOpen Book Examですが、何を見てもいいというのは、言い換えればそれだけ合格するのが難しい試験だと言えます。これらの試験では試験中に一時的にでも患者さんを危険な状態に置いた場合は、その場で失格となります。また質問に完璧に答えられたとしても、受験者に薬剤師としての資質が備わっていないという印象を試験官に持たれた場合は、やはり不合格になることがあります。
これらの試験は、付け焼刃の対策ではどうにもならないので、日頃からの勉強および実務経験を積むことにより真の実力を付け、自分に自信を持つこと以外に試験に合格する方法はないと言って過言ではありません。

(次回 APEC Stage 2 について その2)







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MoMoさんによる連載コラム7:APEC Stage 2 Part2

7)APEC Stage 2 について その2(参考書や資料などの紹介)

オーストラリアの薬学の試験においては、日本のような問題集や対策本がありません。
ですが、効率よく勉強できるように、ここでいくつか書籍や参考書、資料などを紹介します。

=書籍・参考書・雑誌=
・ Australian Medicines Handbook 通称AMH (前にも述べたようにAPECプロセスにおいて必須アイテムです。)
・ Australian Pharmaceutical Formulary and Handbook 通称APF (同じくAPECのプロセスにおいて必ず必要な本です。)
・ Symptoms in the Pharmacy – A Guide to the Management of Common Illness (OTCのカウンセリングポイントとドクターへのReferral pointがまとめられています。)
・ Case Studies in Practice Pharmacist Only and Pharmacy Medicines: A Process Guide for Pharmacists (PSAから出ている本で、36のケーススタディーとその解説が載っている、絶対お薦めの本です。)
・ Case Studies in Practice Medication Review: A Process Guide for Pharmacists (同じくPSAから出ている本で、これも絶対お薦めです。初級レベルのケーススタディーが10ケース、中級が5ケース、上級が10ケースあります。薬剤師になった後でも使える本です。)
・ Counselling Guide for Non-Prescription Medicines (PSAから出ている本で、OTCのカウンセリングポイントやドクターへのReferral pointがまとめられています。)
・ Asthma Management Handbook (National Asthma Council Australiaから出版されている本です。喘息は試験の大きなヤマです。この本ではAMHよりも詳しく喘息の診断や喘息薬について記載されています。)
・ Therapeutic Guidelines Antibiotic (PSAで購入できます。抗生物質のレファレンスとしてよく使われる本です。薬剤師になった後でも役に立ちます。)
・ Queensland Health (Drugs and Poisons) Regulation (法規の本です。法規の試験とStage 2の前に内容を良く読んで理解しておく必要があります。)
・ Australian Pharmacist (PSA Intern Pharmacist Programを始めると、PSAから月に一度送付されます。様々なトピックやケーススタディーがあるので、独学で勉強するのに役立ちます。)
・ Paediatric Pharmacopoeia by Royal Children’s Hospital Melbourne Women’s and Children’s Health  (実技試験に小児用量を計算する問題も出題されます。AMHでも用は足りると思いますが、こちらの本はBrisbane のRoyal Children’s Hospitalでも使われており、より詳しい内容となっています。)

=Webサイト=
・National Prescribing Service Limited  http://www.nps.org.au/
・Australian Prescriber http://www.australianprescriber.com/

以上は私がStage 2の前に使用した参考書類ですが、それ以外にも様々な本や医療雑誌、薬局にある患者さん向けのパンフレット・リーフレットなどを読んで、知識を深める努力が必要です。

(次回 APEC Stage 2 について その3)







MoMoさんによる連載コラム8:APEC Stage 2 Part3

APEC Stage 2 について その3 (私のStage 2への挑戦歴)

Stage 2は今思い起こしても、今まで受けた中で最も過酷な試験でした。私はStage 2に2回失敗し、3度目の受験でようやく合格することが出来ました。

1度目の受験は2000年の3月で、丁度Stage 1に合格してから1年後でした。その頃はPSAのIntern Pharmacist Programの最終試験も合格していたので、妙な自信を持っていたのですが、実際のところ実力が極端に不足していたので、様々な失敗をして不合格になりました。主な敗因は、その頃初版が発行されたばかりのAMHの存在を知らずに、持っていなかったことです。代わりにAPP Guideという分量の割には全く試験に使えない本を、そうとは知らずレファレンスとして使っていました。そのためMetforminの初回投与量が多いのに気がつかず、そのままDispenseしてしまいました。

2度目の試験は、規定では1度目の受験から更に500時間(3ヶ月)の研修を経た後に受験できるのですが、万全を期して2000年の12月に受験しました。その頃、98年に技術移民としてオーストラリアに移住された日本人薬剤師の女性と知り合い、隔週末は合宿と称し彼女の家に泊まり込んで、一緒に勉強しました。私はその頃コミュニィティー薬局で働いており、一方彼女は私立病院の薬局で働いていたので、お互い持っている知識を共有することによって、飛躍的に伸びることが出来たと思います。
試験では彼女は一発合格だったのですが、私はツメが甘く、「患者さんを一時的にでも危険な状態には置いてはいけない」という規定に引っかかり、不合格となりました。喘息の吸入薬がMAからTurbuhalerに切り替わったときに、Overdoseになったのを最初は見抜けませんでした。途中で気がついて訂正したのですが、もう後の祭りでした。

2度目の試験が不合格だったので落胆し、私は一時的に薬学から離れ、日本人の多い職場で未知の分野の仕事を始めました。周りの人はみんないい人でしたし、言葉の壁がないというのがこんなにも楽だったのかと、改めて思い知らされました。しかし、やはり専門外の仕事をしていると、これまで勉強してきたのは一体何だったのだろうと度々ジレンマに陥り、もう一度Stage 2に挑戦することにしました。APECでは、「Stage 1の合格後5年以内に全ての過程を終えなければいけない」という規定があるので、私の場合は2004年の4月がタイムリミットでした。それに間に合うように、この新しい仕事を2002年の10月で辞めました。

3度目の挑戦にあたってのAPECの試験官とのInterviewでは、やはり2年も薬学から離れていたのでPre-registration期間は2000時間になるとのことでした。幸いにも自宅の直ぐ近くの薬局で雇ってもらえたので、2002年の11月から新たにPre-registration研修を始めました。この薬局は以前勤めていた薬局とは違い、マネージメントに問題があり、しょっちゅう働いている人が辞めていくような職場でした。私もストレスから欝気味になり、よっぽど職場を変えようかと思ったのですが、Pre-registered pharmacistの身分では職もなく、必死の思いで12ヶ月を耐えて過ごしました。

3度目の受験は2003年の12月でした。もう後がないので、背水の陣で臨みました。この頃、PSAから「Case Studies in Practice Medication Review」と「Case Studies in Practice Pharmacist Only and Pharmacy Medicines」の初版が出版されたのですが、これらを入手したとき、どうしてこういう本が2回目の受験のときに出版されてなかったのだろうと、臍を噛む思いでした。様々な本や参考書の中でも、特にこのCase Studiesの2冊とAMHは本がボロボロになるまで読み返しました。
APCATは2度目の受験までは導入されていなかったので、今回が始めての受験となりました。最後のほうで少々時間が足りなくなりましたが、自己採点では75%~80%くらいの正答率だったと思います。
実技と口答試験については、試験の終わりに恐る恐る試験官に「今回は何かミスしませんでしたか?」と聞くと、上機嫌で「今回はパーフェクトだったよ。最終結果はAPCATの結果が返ってくるまで出せないけど、またお会いしましょう。今度は試験会場ではなく、ね。」とウインクされました。
APCATの結果が試験官の元に返ってきたのがその2週間後で、正式に合格通知を受け取ったのはその更に1週間後でした。96年の7月にAMEPの英語コースに行き始めてから、実に7年半を経て2003年の12月末(薬剤師登録は2004年の1月初頭)に、私はやっと全ての過程を終えて、オーストラリアの薬剤師として第一歩を踏み出したのです。






MoMoさんによる連載コラム9: あとがき

さいごに
オーストラリアには私のように、国際結婚で移住してこられた日本人薬剤師の方が他にもいらっしゃると思います。特に女性の場合は、妊娠・出産・育児もありますから、その合間をぬって勉強するのは、並大抵のことではありません。しかし、挫折を繰り返しても諦めずに、時には肩の力を抜いて休憩し、また辛抱強く前を向いて努力していけば、必ず道は開けると思います。
オーストラリアの薬剤師資格取得への道は、決して楽な道ではありません。しかし資格を取った後は、安定した職に就くことが出来ますし、フルタイムでもパートタイムでも好きな形態で働けます。努力の結果得られるものは、その労力に見合う価値のあるものであると思います。
私は亀のようにスローテンポで進んでいったので、長い時間が掛かりましたが、前述の98年に技術移民された日本人薬剤師の女性は、2年半から3年弱の超最短コースで薬剤師資格を取得されています。資格取得にかかる時間は人それぞれです。
クイーンズランド州では、APEC に挑戦した日本人薬剤師は、私の知る限りでは私がいちばん最初でした。他の国から来た薬剤師に情報を得ていたとはいえ、やはり何も解らない状態で、出口の見えないトンネルの中を手探りで歩いているような気持ちで毎日を過ごしました。もしも日本人の先駆者がいて、事前に試験概要や傾向と対策が分かっていれば、もう少し効率良く勉強できたのではないかと思います。この手記が、これからAPECに挑戦される日本人薬剤師の方々の道標になれば幸いです。
最後に、これからAPECに挑戦される皆さんのご健闘をお祈りいたします。

MOMO
2008年11月23日





   
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