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Medical certificate : 薬剤師の発行する医療診断書

先日こちらのテレビを見ていたら、見覚えのある顔の薬剤師が映っていて驚いた。彼女は私が働いているEast Fremantle の薬局のオーナーの友人で、Wembley にある薬局の経営者でもある。一度オーナーが留守の時に替わりに入っていて、一緒に働いたことがあったのですぐにわかった。

なんでも、彼女は薬剤師が発行する患者の診断書の是非についてインタビューされていた。

そう、ここオーストラリアでは2006年の3月から、薬剤師も患者の診断書を書く事ができるようになった。日本ではあまり医師の診断書の提出を求められる事も少ないが、こちらオーストラリアではその機会はかなり多い。というのも、会社では有給休暇の他にSick leave (病欠)やCarer’s leave (看護の為の休暇)というのが年に数日間取ることが許されており、風邪や体調不良で休む場合にはわざわざ有給を使わなくてもいいのだ。 

ただこの時、医療診断書を提出する事が求められるケースが最近増えてきた。また、大学でも実験やちょっとしたテストを休むにもこの診断書が必要となる。

今回このニュースで扱われていた内容は、薬剤師の発行する診断書に対し、The Australian Medical Association (医師会)からクレームが入り問題となっている点だ。

彼らの主張としては、
薬剤師が診断書を書くのはおかしい。
「診断」という業務は主たる薬剤師業務には入っておらず、診断するツールも設備も薬局には備わっていない。例えば、もしある患者が風邪の症状で来局しその患者がmeningitis (髄膜炎)でも起こしていてそれを見過ごせばその患者は死にいたる可能性がある。 そんな危険な事をこのまま続けさせていいのか?
というものである。

しかしながら、これに対し、The Pharmaceutical Society of Australia (薬剤師会)は真っ向から反対意見を述べている。

そもそも患者が医師の診断書を必要としている緊急の時にGP(General Practitioner:開業医)に行っても「予約がない」と言って断られ(ほとんどのGPは予約制です)、何件もGPをはしごしなければならない。
薬剤師が発行している診断書はきちんとしたガイドラインに基づいてマイナーな怪我や病気の場合に発行している。患者も自分の風邪や症状を把握している場合が多く、わざわざGPに行かなくても、薬局で買える薬で治る程度。それでも診断書の為にわざわざ予約が空いているGPを見つけて、そこに診てもらいに行かなければならないのは、医療費の無駄使いではないか?
また、薬剤師が発行できる診断書の期間は2日間。それ以上長引く場合は医師の診断書が必要となるようにガイドラインで定められている。
さらに、「診断」は薬剤師の業務ではないというが、薬剤師の主たる業務の一つにReferral(病院に送る事)がある。どういった時に薬局の薬を使って治し、どう言う時にはドクターに診てもらう必要があるか判断するのは薬剤師のメインの仕事である。


どちらの意見も一理あると思うが、そもそもこの国の医療制度を考えると私はGPにこれ以上負担をかけるのはどうかと思う。医療費抑制の為に医学部生の数を制限し、そのあげくが医師の慢性的な不足(特に非都市部において)。そしてさらに公立病院における患者の長蛇の列。正直言って、プライベート(私立)ではなくパブリック(公立)のオーストラリアの医療の質やサービスに対して私はかなり疑問に思う事が多々ある。医師への負担を減らし医療の質を向上させるという意味では、薬剤師の発行する診断書は有意義な手段であろう。

ちなみに、実際に現在GPを受診する60人に1人は医師の診断書を求めて来院している。この数は9年前に比べると実に2倍に増えているようだ。恐らく雇う側の権利と雇われる側の権利の衝突がこの診断書数の伸び率に結びついているのであろう。そういった事を考えると、ある程度、妥当な業務を薬剤師に任せるのは自然な流れなのではないか。 実際にアメリカのある州では、トレーニングを受ければ、薬剤師が予防接種を患者に注射する事もできる。

しかしながら、確かに医師会が言うように「診断」とう点においては、心配な部分も残ると思う。例えば医師会が言っていた感染性のMeningitis(髄膜炎)など の場合ちょっとした身体的な検査によってその兆候を見分ける事ができる。(どうやるかはまた別の機会に書くとします) もしすぐに病院に行っていればそれも見分ける事ができるが、なにもツールがなく、患者に直接触れたりして診ることもほとんどない薬局の場合、見過ごして手遅れになる可能性もあるだろう。またそのまま放置して、最悪の場合、その患者の家族等にさらなる感染拡大を引き起こす可能性もある。

そういった事を考えると、薬剤師は重要な病気や疾患の兆候や、いろんな疾患におけるRed Flag(いつどんな症状の時にrefer するのか) をもう一度しっかりと把握する必要があるであろう。

薬局によっても様々だが、この診断書に対しだいたい$10~$15 ドルくらいチャージしている薬局が多いようだ。病状や状態を問診によって聞き、それを手紙にして書くという手間を考えると、決して割り合うものとは思えないが、患者のニーズを考えると、これから益々こういった機会が増えてくるのではないか。







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